こんにちはピートです。税理士試験を受験して税理士を志す人の多くは、「税理士として独立」することを視野にしていると思います。
僕は「大手税理士法人」と「中小税理士法人(税理士事務所)」に勤めた経験があります。
そこで、今回は独立する上でどちらで経験を積んだ方がいいかを僕の経験から以下に記述したいと思います。
人により状況は違うと思いますが、あくまで僕の意見ということを考慮してもらえばと思います。
定義
大手税理士法人
ここでは、一般的に「BIG4」と言われている大手税理士法人とそれに準ずる準大手税理士法人を「大手税理士法人」と定義します。
300人以上の従業員数がいる税理士法人(グループ)です。
100人ほどの比較的大きい税理士法人もありますが、そこも同様と考えてもらってもいいと思います。
そうなると自然と「都心の税理士法人」がターゲットになると思います。
中小税理士法人(税理士事務所)
一般的な税理士事務所をイメージして頂ければと思います。
従業員数が10人程度の税理士事務所で、日本中の至る所にあるようなところです。
コンビニや歯科医院のように、税理士事務所は色々な場所に点在していますよね。
それだけ需要は大きいということでしょうか?
経験できる税理士業務
大手税理士法人
上場企業を中心とした、「大手企業の税務業務」を経験することができます。
税理士法人により特色が異なり部署によって違うと思いますが、僕は以下のような経験を積むことができました。
- 上場企業を中心とした大企業の法人税申告書作成及びレビュー業務
- 外資系日本法人の法人税申告書作成業務
- 大手不動産ファンドの法人税申告書及びスキーム作成業務
- その他税務相談業務
僕は海外に留学していた経験があり、多少の英語能力はあると思っていましたが、実際にそれを実務に生かそうとすると自分の能力不足を実感しました。
それでも試行錯誤して頑張ったおかげで、簡単な英語での電話とメール対応はアレルギーを持たずに行うことができるようになりました。
ただ、組織再編や移転価格などの国際税務業務は別部署が行っていたので、僕が主となり業務を行う経験を積むことができませんでした。
知識もあり厳しいクライアントも多かったですが、そのような人たちと対等にやり合うことで自信と実力がつきました。
また同僚や上司も、仕事面では尊敬できる人が多かったです。あくまで仕事面ではですが。笑
中小税理士法人(税理士事務所)
「中小企業」を中心とした税務業務を経験することができます。
これは税理士事務所のクライアントや特色によると思いますが、僕は以下のような経験を積むことができました。
- 個人の記帳代行及び所得税申告業務
- 年末調整業務
- 土地及び非上場企業の株価の評価業務
- 中小企業の記帳代行及び法人税申告業務
- SPCなどの不動産ファンド業務
- 簡単な組織再編業務(合併や分割などの有利不利判定)
- 簡単な国際税務業務(国外支店や国外子会社の有利不利判定)
- その他税務相談業務
とりあえず多種多様な経験を積むことができました。
今思うと業務レベルは、大企業のそれと比べてとても簡単で、正直少しの経験と知識で対応できるようなものだったと感じています。
それでも年末調整業務などは経験していないと業務の流れなどがつかめないので、経験しておいてよかったと感じています。
また組織再編や国際税務など、僕の検討した資料はお子様のような低レベルなものでしたが、一通り経験できたという自信にはなったと思います。
気が合う人たちが多く仕事帰りなどよく飲みに行っていました。
僕の勤めていたところは、上層部の能力に依存していた税理士法人だったので、仕事はほとんど上層部がとってきていました。
私見
①大手税理士法人と中小税理士法人(税理士事務所)にどちらを経験すべきか?
結論から言うと、「大手税理士法人」は可能なら経験すべきだと思っています。
独立したら、個人事業主又は中小法人がメインターゲットにになるのが一般的なので、「中小税理士法人(税理士事務所)」の経験が生きるのではないか?と思う人が多数いると思います。
たしかにそれは間違っていないと思います。現に僕も、今のクライアントは個人事業主が大半を占めていて、法人に関しても売上が1億円ほどの中小法人です。
8割が個人事業主で、2割が中小法人です。
業務内容は記帳代行、申告書作成業務又は税務相談業務といった一般的な業務内容となっています。
では、なぜ現在の僕のメインの税理士業務のクライアントが「個人事業主又は中小法人」なのに、「中小税理士法人(税理士事務所)」の経験は必須ではないと考えているかというと。。
- 独立してからでも学ぶことができる(知人やネットのアドバイス等で対応可能)
- 就職口が広いので、困ったら比較的容易に転職が可能
- 自分の成長速度が鈍くなる
僕は中小税理士法人の就業経験が5年以上ありますが、正直「2年」で十分だったと今となっては思っています。
就業してすぐは初めてのことだらけで自分の成長を感じることができましたが、ルーティンワークが多く2年ほどで概ねマスターすることができました。
こればっかりは税理士法人の特色によるので一概には言えないと思いますが、少なくとも僕はそのように感じました。
また僕の場合は、周りの同僚のレベルもそれほど高くありませんでした。僕はそれに合わせてしまい自分で努力することを怠ってしまったため、結果として自分の成長速度が鈍化してしまった気がします。
居心地はとても良かったです。
繁忙期が終わった後の飲み会は楽しかったな~、と今でも思い出しています。
②大手税理士法人と中小税理士法人(税理士事務所)にどちらを経験すべきか?
では、なぜ僕は「大手税理士法人」の経験が必要かと考えているかを以下に明記します。
- 上場企業を中心とした大企業の難解な税務業務を経験することができる
- レベルの高い同僚などと切磋琢磨することができる
- 自分のキャリアにおいてプラスになる
前述した通り、独立した場合は大半の人はクライアントが「中小法人又は個人事業主」になると思うので、正直難解な税務知識を必要としないケースが多いです。
ただそれでも、難解な税務業務を経験することは条文解釈や仕事の質の面で、自分にとって大変プラスになりました。
また、「大手税理士法人」の経験があるということは、自分のキャリアにおいてプラスになることが多いと思います。
僕の場合は「事業会社の転職」や「クライアントの信頼を得ること」に、そのキャリアは寄与したと考えています。
それでも僕の実力では、独立一本で食べていくことが難しいのですが。。
このように、「自分の可能性が広がる」という意味で、僕は大手税理士法人の就職を進めます。
できれば経験しておいた方がいいこと
僕が少し後悔していることを皆様に共有したいと思います。「相続税」及び「事業承継」などの業務に特化した税理士法人の経験が必要だったと考えています。
僕の今までのキャリアでは、上記の業務を経験することができませんでした。あくまで僕の考えですが、これらの業務は特殊だと考えています。
ですので、独学でノウハウなどを学ぶことが難しく、頻繁に周りに助言を求められるのですが一般的な話しかすることができません。
僕の感覚では、「相続税」及び「事業承継」などの業務は需要が高く、もし僕がそれらの業務にも対応できるのであればもっとクライアントが増えていたと思います。
一般の税理士事務所でも、これらの業務を対応しているところも多数あると思います。
そのような税理士事務所に勤めるべきだったかなと思っています。
また、「組織再編」や「国際税務」に特化した中小税理士法人(税理士事務所)もあります。
もしそのような業務を独立してメインにしたいと考えている人は、上記のような税理士法人での経験をお勧めします。
ただ僕が「法人」の税務業務が得意なので、これらは今のところ一人で対応できています。
まとめ
税理士として独立したいと考えている人の中では、「中小税理士法人(税理士事務所)」の経験が必須と考えている人も多いと思います。
ただ、個人的には必須ではないと思っています。それよりむしろ、自分一人では学べないことを経験したり難解な業務を経験すべきだと考えています。
あくまで僕の偏った意見なので、違う意見を持っている人は多数いるかと思いますが、一つの意見として参考になれば幸いです。