こんにちはピートです。僕はいわゆる、税理士試験で「ミニ税法(※)」を選択しています。
(※)ミニ税法とは、「消費税法」、「酒税法」、「国税徴収法」、「住民税」、「事業税」及び「固定資産税」を総称していいます。
さて、世間一般では「ミニ税法は役に立たない」と言われているようですが、実際に実務でそれを生かす機会があるのかを、僕の経験から皆様に紹介したいと思います。
あくまで僕の経験ですので、業務内容によっては異なるかと思いますので一つの参考にして頂ければと思います。
- 税理士試験の選択科目を迷っている人
- ミニ税法を選択したいが実務で使えないと考えて躊躇している方
受験科目と合格科目
- 大学4年目 …「簿記論合格」
- 専念1年目 …「財務諸表論合格」「消費税法合格」
- 専念2年目 …「法人税法合格」
- 社会人3年目…「固定資産税合格」
僕が合格したミニ税法は、上記の通り「消費税法」及び「固定資産税」となります。
ただ実は、固定資産税と併せて「住民税」も勉強していました。
結果的には住民税は合格できませんでしたが、感覚的には運がよければ合格できるレベルには達していたと思います。
ですので今回は「消費税法」、「固定資産税」及び「住民税」を紹介しようと思います。
実務での活用
消費税法
お役立ち度:★★★★★
消費税は皆さんご存じの通り、実務ではどんな場面でも必ずついて回る税法です。
ですので個人的には、「選択して損はない税法である」と考えています。
ほとんどの会計ソフトでは、毎月適正に記帳していれば「自動的に申告書が作成」されるかと思います。
勘定奉行などがそれに当てはまりますね。
ですので、消費税申告書の計算過程の知識は実務ではあまり生かせないかもしれません。
ただ、実務担当者目線で言うと「課税区分の判定」などで役に立つと思います。
消費税の勉強をしていると、「重要条文」と同時に「思考過程」を学ぶことができます。
とくに国外取引が絡んだ「クロスボーダー取引」では、なぜそのような考え方になるかを理解することが大切だと考えています。
勉強していない人は、税理士でも感覚で考えてしまったり一つ一つの事例を暗記してしまっています。
考え方が分かっていると、ミスが格段と少なくなると思います。
また、「課税選択」などといった「シミュレーション」でも役に立ちます。
消費税は事前にしっかりシミュレーションをすれば、「大きな節税」に繋がります。
逆に言うと、知識不足により誤った選択をしてしまうとクライアントや上司の信頼を損ねてしてまう恐れがあります。
税理士賠償事例によく消費税の選択誤りが出てきますしね。。
ちなみに組織再編時は、消費税の中間(予定)納付の考え方が特殊となります。
税務署から納付書が送られてくるのでそれに沿って納付すればいいのですが、それが大きく間違っていたケースがあり、税務署に話して修正してもらったこともあります。笑
意外なところで役に立つこともありますね。
固定資産税
お役立ち度:★★★☆☆
固定資産税は「賦課課税方式(※)」となっていますので、直接実務で役に立たないと思われがちですが、多少は使える機会はあります。
(※)国や地方公共団体が納めるべき金額を計算し納税者に通知する方式
まず、毎年1月末に申告する「償却資産税申告」で多少ですが役に立ちます。
ただ正直、自治体が発行している「申告の手引き」を読んで理解することができればそれで十分だと思います。
税理士試験の勉強では重要条文と考え方を覚えることにはなりますが、個人的には結構薄い知識だと思います。
償却資産の定義など暗記しますが、それは実務をしていれば自然と身につくと思います。
また、大手税理士法人のグループ会社などが担っているのですが、「固定資産税の削減業務」というのもあったりします。
自治体が計算してきた金額の妥当性を確認して、誤りを指摘して削減を図るというものです。
主に工場の建て替えなどが該当するのかなと思います。
ただこれに関しては、建築の知識なども必要だと思うので、固定資産税の勉強をしていてもそれだけでは不十分だと思います。
固定資産税の勉強で建物の評価の条文を暗記しましたが、正直チンプンカンプンでした。笑
あとは、「相続税」などを含めた「個人の節税提案」で固定資産税の考え方を使うケースもあります。
ただこれもどちらかと言うと、「税理士試験での知識」をベースに「実務での知識を上乗せ」していくといったイメージだと思うので、必須というわけではないと思います。
合わせて「【お役立ち情報】5.償却資産税の節税??」をご覧ください
住民税
お役立ち度:★★☆☆☆
住民税は大きく分けて「法人住民税」と「個人住民税」があります。
税理士試験では「個人住民税」を中心に勉強することになります。
個人住民税
個人住民税も前述の固定資産税同様に、「賦課課税方式」となります。
ですので、一般的には正直そこまで役に立たないと考えられがちですが、僕にとってはとても役に立っています。
というのも、「僕は所得税を税理士試験で選択していない」ので、条文や思考過程をあまり理解していません。
個人住民税は所得税に考え方が似ている部分もあるので、その点で基本的な考え方を学べたような気がします。
といっても、結局は所得税は自分で勉強する必要はありますが。。
また「個人の有利選択」を考える際に、「所得税と個人住民税はセットで考える必要がある」と僕は思っていますので、その点でも役には立っていると思います。
ただその際は「社会保険」も検討する必要があると思いますので、結局は自分で勉強する必要はありますが。
法人住民税
法人住民税は申告ソフトに人員数や支店数などを事前に適正に入力してくれるので、自動的に計算してくれます。
どのソフトでも対応していると思います。
ですので個人的感覚では役に立たないと思います。
アルバイト雇用が多い法人や支店が多い法人などでは、多少の節税提案ができる可能性はありますが、正直税理士試験の勉強だけではそれができるとは思えません。
結局は実務で学んで勉強する必要があると思います。
正直実務での活用を考えるのであれば、「事業税」を選択した方がいいと思います。
まとめ
このように世間一般では役に立たないと言われているミニ税法も、実務を経験していくと大なり小なり役に立つ機会は出てきます。
僕は税理士試験で勉強はしていませんが、「国税徴収法」及び「事業税」も実務では使う機会があるのである程度は活用できると思います。
ですのでミニ税法を選ぶ際には、個人的には「実務での活用を考えるより合格しやすい科目」を選ぶ方がいいと思います。
将来自分がどのような業務をするかは、税理士試験を勉強している段階では分からない人もいるかと思いますので。
何かしらでは役に立つとと思いますよ。
ただ、「酒税法」は実務では全く役に立たないので、余程のことが無い限り「消費税法」を選択した方がいいとは思います。笑
なんでいまだに「酒税法」が選択科目に含まれているのかは不明です。
消費税発足時に除かれればよかったのにと思っています。
例えば院免除を考えている人は、「簿記論」「財務諸表論」「酒税法」を選択することが合格の早道になるかもしれません。
ただその場合は、合格後にしっかり勉強しないと実務についていけないことになる可能性があるので、気を付けないといけませんね。